HACCPシステムでも、多くの専門用語が使われています。HACCP専門用語はしっかりと定義を明確にしましょう。前回のSSOPに続き、PRP(PP)とは何か整理してみます。
Prerequisite programme (PP又はPRP)
PP又はPRPは前提条件プログラム・一般的衛生管理などと訳されています。前提条件プログラムの方が直訳に近い形です。
「なんの前提条件か」というとHACCPシステムの前提条件です。HACCPシステムを構築する前に構築しておくプログラム(計画)のことです。HACCPシステムとは別物なのです。
HACCPとPRPの関係
PRPがなくても、HACCPシステムを構築することはできます。ただしHACCPシステムで管理すべきハザードが多くなります。
するとどうなるでしょう???
例えば、工場内にねずみが走り回っているとします。そのような環境では、食品にねずみ由来のハザードが混入する可能性が高くなります。するとねずみの動向を監視しなければ、安全な食品が製造できないかもしれません。PRPがなければ、「ねずみの監視」も「HACCPプラン」というもので管理します。
HACCPプランが多くなるとHACCPシステムが煩雑になり、管理が不十分になります。HACCPシステムを導入する意味がなくなります。
そこで、施設全体・従業員の管理など、製造する食品とあまり関連しないような衛生に関する項目を「PRP」としてまとめて管理することになったのです。それがPRPです。
具体的なPRPの例
PRPとしては第一にCodexで定めている「食品衛生の一般原則」が、挙げられます。Codexでは他にも様々な衛生規範を作成しています。これらがPRPの参考になります。日本では各自治体が定めている条例、ガイドラインなどが参考になります。特に「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針」が有用です。
PRPに唯一のものはない
PRPには関して唯一のものはありません。各企業でガイドラインなどを参考にして自分たちに合ったPRPを構築すれば良いのです。
PRPの内容
PRPとすべき内容は、企業ごとに異なりますが、参考となる資料をまとめると概略は以下ようになります。
1. 施設設備の配置に関すること
2. 施設設備の素材や構造に関すること
3. 施設設備のサニテーションに関すること
4. 施設設備の保守に関すること
5. 食品や食品に接触する物(使用水・包装資材など)やその取り扱いに関すること
6. 有害物(有害小動物や化学物質、廃棄物など)に関すること
7. 回収・廃棄に関すること
8. 従事者の衛生管理
9. 従事者の教育
分類の仕方が資料によって異なりますが、内容に大きな違いはありません。
また、SSOPに関することやHACCPプランの内容が含まれてしまうこともありますが、大切なことは、安全は製品を作るために必要な内容が、必要な範囲で網羅されていることです。
「完璧なPRP」にする必要はない
「ウチは一般衛生管理ができていないからHACCPはできない」という話を聞きますが、一般衛生管理(PRP)を完璧に構築する必要はないのです。その辺の話は次回にします。
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