2010年8月9日月曜日

CCPがなくOPRPしかないHACCPシステム。最後の砦がない?

キュー・アンド・シーの阿部です。

前回に引き続き、「最後の砦がCCPとは限らない」例について、「あるハザードに対する『安全管理の最後の砦』は隠れてしまい(CCPはなくなり)、別のハザードの『最後の砦』がOPRPになった」です。




一般衛生管理(PRP)が非常に重要な場合


手作りおにぎりの製造を考えてみます。おにぎりの作り方は白米を炊いて、塩を付けて握るだけです。

製造工程は、まず、原料の白米は炊飯器で加熱します。加熱工程があるので炊飯加熱がCCPとなりそうですが、炊けていないご飯は商品になりません。ですから、炊飯加熱はCCPにはなりません。

次に手作りなので、ヒトが握ります。すると黄色ブドウ球菌が付着する可能性があります。しかしその後の工程には加熱がなく、ヒトの手指からの「黄色ブドウ球菌の付着」というハザードを管理する手段はPRPとなりCCPにはできません。よって、CCPがないHACCPシステムになります。これが従来のHACCPシステムでした。

一方ISO22000ではOPRPがあります。OPRPとは、「ハザードを管理するために必須なものとしてハザード分析で明確になったPRP」と定義されています。OPRPはPRPの一部なのです。ですから、おにぎりで言えば「黄色ブドウ球菌の付着」をOPRPに設定して、モニタリングして記録を付け管理をするのです(この辺りはSSOPと似ています)。すると手作りおにぎり製造のHACCPシステムはCCPがなくOPRPのみで管理することになります。


この例での注意点は、

  •  「CCPがない=最後の砦がない」ではない

という事です。加熱温度の設定が「品質管理>安全管理」になっているから、安全管理としての最後の砦が必要ないということです。安全管理の最後の砦が品質管理における普通の砦に包括されているだけです。

  • さらに、 ここでのOPRPは「加熱工程以降の黄色ブドウ球菌付着」というハザードに対する最後の砦

だということです。炊飯前の白米に付着している病原微生物に対する最後の砦ではないのです。微生物という一見同じようなハザードでも、実はハザードの中身が違うのです。
だから、「あるハザードに対する『安全管理の最後の砦』は隠れてしまい、別のハザードの『最後の砦』がOPRPになった」となるのです。

最後の砦とCCPについてまとめると、「CCP=最後の砦」だが「最後の砦=CCP」ではないということでしょうか。OPRPについては、後々もっと詳しくお話していきたいと思います。

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