2011年5月16日月曜日

焼肉で食中毒を起こさないために・・・

  1. 付けない
  2. 減らす
焼肉店で発生し死者を出してしまった食中毒事件。これは防ぐことができた事件だと思います。「生肉は危険!」これは食品衛生業界では常識でした。「腸管出血性大腸菌による小規模食中毒では、焼肉やレバ刺しなどの加熱不十分、あるいは生の肉を原因とした食中毒が非常に多い(HACCP:衛生管理計画の作成と実践、中央法規)」と記載されているほどです。また、近年カンピロバクターを原因菌とする食中毒が増加傾向にあり、これも生肉が原因とされていました。ですから、生肉を食べることが流行していること、そして生肉を食べることにはリスクがあることは明白でした。

私たちもお客様には「生肉」について注意を呼びかけていました。でも「ニーズ」と「費用対効果」にはかないませんでした。非常に力不足を感じます。食品衛生は経費削減と利益追求の前に無力化されてしまうのです。残念なことです。

でも、起きてしまったことより、これから起きないことを考えましょう。


減らす

「2.減らす」は新聞でも言われているように「トリミング」です。

なぜトリミングをするのかわかりますか?通常、人間もそうですが、健康な筋肉は無菌です。微生物がいるのは外界と繋がっている「腸管」「表皮」などです。よって肉の周囲についた微生物をトリミングでそぎ落とせば、中の肉は無菌です。但しミンチや合わせ肉(接着肉、どの表現が良いかな?)では表面のトリミングで無菌や減菌にはなりません。

付けない

そして、「1.付けない」です。
  • トリミング前の汚れをトリミング後の肉に付けない
  • 加熱用材料の汚れを生食用肉に付けない
  • 人から生食用肉につけない
具体的な方法は、
  • 器具の使い分け
  • 器具の殺菌
  • 手袋の着用
  • 手洗い
などがあるでしょう。

「付けない」については、過去の記事を参考にしてみてください。

これらをしっかり実行すれば、生肉(固まり肉)でも大丈夫なのです(ミンチや結着肉は内部まで汚染が拡がっている可能性があるので危険です)。だから、ステーキのレアが可能なのです。でも万が一のことがあるので、抵抗力の弱いお年寄りや子どもは食べない方が無難です。

さて、この事件のために「焼肉」事態に不安が拡がっているようですが、「焼いても万が一のことがあるから・・・」はありません。それは加熱が不十分だったのです。

焼けば大丈夫!

病原大腸菌は75℃1分以上の加熱で死滅するとされています。O157:H7のZ値は8.3°Fなので、82℃のベリーウェルダン(ステーキの焼き加減)だと6秒の加熱になりそうです。ベリーウェルダンとは、肉汁が出ない状態です。

ですから、肉汁が出なくなるまでしっかり焼いた肉であれば「焼肉」でも安全です。正しい情報を知って、安心して食事をしましょう。

次回はこれらの管理をHACCPシステムに当てはめて考えてみましょう。

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