2011年6月22日水曜日

マーケティングと商品設計がずれている

食中毒に注意が必要な季節になりました。

私たち消費者も、もう一度「食中毒」について勉強しましょう。

非常に残念なことに、また「大腸菌」で食中毒が、しかも死亡事故が起きてしまいました。
亡くなられた方と同じ年齢、3歳の息子をもつ私としては他人事とは思えません。
食べる方作る方双方が、もう一度、食品衛生について学び直して頂ければと思います。


HACCP管理上では曖昧にしていませんか?ターゲット


「ターゲットは明確ですか」と書くとマーケティングの話のようですが、
今日もまたHACCPの話です。

HACCPでもターゲットを明確にすることが必要です。それは・・・・・・・・。


「意図した用途」です。
先週も、意図した用途について簡単に出てきましたが今日は深く掘り下げます。


意図した用途



意図した用途の内容には2種類あります。

一つは「最終製品の取扱い」、いわゆる使用方法です。
もやしであれば「加熱調理用」がそれに該当します。

そしてもう一つは「対象とする消費者グループ」です。
これがタイトルにある「ターゲット」です。

「意図した用途」は「製品の特性」を記述した文書に含めることが多いです。
さらにこの「意図した用途」には「一般消費者」と書くことがほとんどです。
普通にスーパーマーケット等で購入できる食品は「一般消費者」を対象としています。
でもこの「一般消費者」とはどういう消費者でしょうか?


一般消費者とは?


恐らく、「健康な成人」を「一般消費者」としているでしょう。
実際、私がコンサルティングした食品でもこのような捉え方をしていました。
いいですか?「健康な成人」です。
中には「全ての消費者」と仰る方もいらっしゃいました。

今回の食中毒では、原因食材はまだ明確になっていないようです。

読売新聞の記事には
「10日にすし店でイクラやうどんを少々食べた以降は外食しておらず、
生肉は食べていない」と書かれています。
家族や女の子が通っていた保育園の園児にも症状は今のところないようです。

すし店で喫食したと書かれていますが、
刺身については取扱いに関しては衛生管理の考え方が浸透しているため、
食中毒が発生することは少ないです。
それでも「一般消費者=健康な成人」をターゲットとしています。

病原大腸菌O157は熱に弱く75℃1分の加熱で死滅します。
ですから非加熱製品か二次汚染が最も可能性が高くなります。
女の子が通っていた保育園では症状を訴えている園児がいないことから、
保育園の可能性は低いような気がします。


離乳食が完了した幼児は、「健康な成人」と同じ?


するとどうしても、「すし店」が気になります。
そして、ターゲットが「健康な成人」であることと
「家族に症状が出ていない」ことが引っかかるのです。
(食中毒の原因が「すし店」なのでは?ということではありません。
3歳児が生のイクラを食べていることが気になるのです)

もちろん、「健康な成人がターゲットだから少々病原大腸菌が検出されても問題ない」
というワケではありません。

当然子どもが食べても安全な食品を提供すべきです。
でもすし店なのです。
生ものを扱うのです。
可能性は極めてゼロに近くできますが、ゼロにはなりません。
そして3歳児はまだ病気に対する抵抗力が弱いのです。
健康な成人とは違います。

子どもに生ものを食べさせる時に保護者が気にするのは「アレルギー」の事だと思います。
ただ、アレルギーも大切ですが、「食中毒」を心配する事も必要です。
「以前に、生の○○を食べても大丈夫だったから今回も大丈夫」
はアレルギーには当てはまります。でも食中毒には当てはまりません。

食品衛生に携わる者として、そして二児の母として、
抵抗力が弱い子どもに食べさせる物には、
保護者の方が細心の注意を払って頂きたいと切に願います。
あまりカゼをひかなくなるまで、抵抗力が強くなるまで、
動物性の生ものは控えるべきではないでしょうか。



食品を提供する側(飲食店、食品製造業に関わらず)も、
本来なら「一般消費者」とお茶を濁さずに、
「健康な成人」、「離乳食完了期から健康な成人」
のように詳細を記載すべきなのかもしれません。

もう一度繰り返します。その商品のターゲットは誰ですか?

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