2011年7月7日木曜日

どこまで増えるのか、食中毒による死亡者。

統計情報もHACCPには重要
他山の石として利用しよう。

新型インフルエンザの流行で世間が大騒ぎしていた2009年、その翌年2010年は食中毒による死者が「0」でした。



今年の食中毒事故はどこまで増えるのか?

しかし、今年はどうでしょうか?厚生労働省の食中毒速報には、まだ反映されていないようですが、ここ数ヶ月間で焼肉チェーン店の事故4名、堺市1名、伊賀市1名、山形1名と既に7名の死者が出ています。

食中毒による死者が10名を超えた直近の年は2002年(平成14年)で、栃木県の病院給食集団食中毒(9名死亡)が起こった年です。このときは原因物質として腸管出血性大腸菌(VT産生)と統計では記録されています。

どのくらい危ないのか?

最近、食中毒の話題と言えばノロウイルスでした(多い年は1万人以上の感染者がでます)。しかしノロウイルスが原因で死者がでることはありません。それに比べ、腸管出血性大腸菌は感染者(毎年70~300人程度)の10~15%がHUS(溶血性貧血、血小板減少、急性腎不全)を引き起こし、HUS 発症者の約 1~5%が死亡するとされています。

したがって、ノロウイルスは感染する頻度は高くても脱水症状に気をつければ死に至るリスクは少ないですが、腸管出血性大腸菌(ベロ毒素産生)は感染するリスクは低いですが、死亡するリスクはノロウイルスに比べると高いと言えます。


大腸菌による食中毒が多く発生すると死亡者が増える可能性が高いのです。今年はどうやら大腸菌に注意が必要のようです。

HACCPと関係あるのか?

このような情報とHACCPのどこが関係するのか。それは、ハザード評価です。

危害分析(ハザード評価)では、潜在的なハザードを全て列挙し、そのハザードを発生頻度・重篤度で評価します。評価の結果、重要なハザードと評価されたハザードは、HACCPプランで管理することになります。
このHACCPプランで管理するか否かを決める重要な手がかりが、統計情報には含まれているのです。

先ほど出てきた「頻度」と「重篤性」です。ノロウイルスは頻度が高いけれど、死亡はしない。腸管出血性大腸菌については頻度が低いけれど、死亡率が高い。という具合です。
ハザード評価では、「自分の工場では起きていないから大丈夫」ではなく、「食品業界の状況はどうなっているか」を考える必要があるのです。自分の所では大丈夫でも、外から入ってくる原材料は?外の物を食べている従業員は?

食品安全が「フードチェーン全体で」と言われているワケはこんな所にもありますね。




気に入って頂けましたら、応援お願いします。
にほんブログ村 料理ブログ 食の安全・食の基礎知識(料理)へ
にほんブログ村

0 件のコメント:

コメントを投稿