2011年7月23日土曜日

お金をムダにしない、規格に適合した校正とは

トレーサビリティ=追跡できる」だと思っていませんか?食品のトレーサビリティではその通りです。でも校正では「トレーサビリティ>追跡」です。「追跡」という意味はもちろん含まれていますが、それだけではありません。「不確かさの明示」が必要だと言うのです。ビックリですね。

日本の「校正」を管理する組織、独立法人製品評価技術基盤機構認定センターが訳編している「計量学-早わかり」を見てみます。

そこにはこう書かれています。
トレーサビリティチェーンは切れ目のない比較の連鎖であり、全ての比較において不確かさが明示されているものである。このことは、測定結果や標準の値がより高いレベルの標準に関連づけられており、最終的に一次標準に到達できることを確実にする。」

この定義を読むと、食品分野では「切れ目のない連鎖」でしかないことがわかります。校正分野では「切れ目のない比較の連鎖」で「全ての比較において不確かさが明示されているもの」であると言っています。

トレーサビリティ体系図がついているから、校正のトレーサビリティは大丈夫。と考えがちですが、これはどうやら間違いのようです。もう一つ資料を見てみましょう(今回は参照が多いです。この分野はまだまだ勉強途中なものですから・・・)。東京都計量検定所が作成したISOに適合する「計量のトレーサビリティ」です。

これには、「トレーサビリティ体系図のみでのトレーサビリティの証明」、「ISO/IEC17025に適合が認められていない事業者が発行する証明書」はISOの要求事項に適合しないものと書かれています。

どうやら、不確かさが明示されないためにこれらの証明はダメなようです。

ここで疑問が一つ沸いてきます。食品の生物学的安全性に関して、国家標準にトレース可能な機器が必要なのでしょうか?ISO22000では「有効な結果を確実に得ることが必要な場合は」と書かれています。

食品の加熱は75℃1分と一般的に言いますが、この75℃は75.00℃なのでしょうか?75.1℃なのでしょうか?微生物を加熱殺菌する際の温度設定はそれほど精度の高い物だとは考えられないのです。
この問題は「不確かさ」とは何かと合わせて、次回も考えてみようと思います。

食品の製造現場を見て、微生物をどうやって押さえるかばかり考えていると、頭の中がアナログになるので、少々気を付けようと思います。ISOの世界はデジタルが多く存在するのです。


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