2011年8月17日水曜日

90%の除菌率にだまされていませんか?




キュー・アンド・シーの阿部です。

 今年の夏は皆さん節電に取り組まれていると思いますが、「電気使用量90%削減」と聴くと、すごく削減されていると感じますよね。

これまで1万円かかっていたのが、1000円になるのですから。

90%とは、「全部ではないにしてもほとんど」だと感じます。


 さて、ここで「除菌率90%」について考えてみましょう。 

菌の数が10分の1になったということです。10万個あった菌が1万個に減少したのです。
これを見慣れた表記にすると、10万=10の5乗、1万=10の4乗、です。
1桁減少しただけです。

 ちょっと待って下さい。表現が変わっているのにお気づきでしょうか?





 「全部ではないにしろ、ほとんど」が「1桁減少しただけ」になりました。

 そうです。
90%減少は1桁減少です。
99%減少で2桁減少です。
通常は5桁くらい減少するように、当社では清掃や手洗いの指導をします。

すると99.999%になります。
「100%には絶対にならないけど、限りなく100%にちかいから」ではなくて、99.999%なのです。 もともと菌数が多い10万個(10の5乗)が存在して、90%減少しても、1万個も残っているから「1桁減少しただけ」なのでしょうか?

それは「感覚」として感じることであって、衛生管理について責任があって微生物についてもかなりの知識をお持ちの「理論派」の皆さんは、この説明で満足してはいけません。


 微生物は増殖するときには、対数増殖するのです。
1→2→4→6→8(2+2+2+・・・)に増えるのではなく、
1→2→4→8→16→32(2×2×2×2×・・・)と増えるのです。

これをグラフにすると直線ではありません。でも人は直線で考えた方がわかりやすいので、常用対数(log10)を使います。すると直線になるのです。 

1桁の減少では直ぐに増殖して元に戻ってしまいます。

 微生物は対数で考える必要があるのです。パーセンテージにだまされないで下さい。 

良いですか?

数値は一つでも表現の仕方によって、認識に違いが生まれます。より効果的に見せるように、データは加工されます。「10万個が1万個に減少」と書くよりも「90%除菌」と書く方が効果的に見えるでしょう。

 校正のところで、精度の話がありましたが、精度とは小数点以下の桁数ではないのです。それで言えば、99.999%は精度が高いことになってしまいます。この場合は精度とは関係ありませんでしたね。

また、微生物は常用対数で扱うから、2.3×10の5乗の「2.3」の部分はそれほど気にしなくて良い。


加えて、食品衛生検査指針に基づく検査は、
測定値を有効数字2桁で表すことになっています。
「2.3」を「2.34」にする必要はないのです。
有効数字が3桁になることで、検査結果の評価にどれくらい差がでるか、
良く考慮する必要があります。

「2.3」が「2.34」になっても10の5乗ですよね?




 科学的な根拠を求められるHACCPでは数値の取扱いにも注意してください。



  気に入って頂けましたら、応援お願いします。
人気ブログランキングへ

0 件のコメント:

コメントを投稿