2010年12月6日月曜日

OPRPを活用すると、衛生管理はもっと楽になる、もっとアピールできる

キュー・アンド・シーの阿部です。

「HACCPは意味がない」と思っている人で、「加熱は絶対にしっかりできる。加熱不足はあり得ない。もっと大切なのは、加熱した後に微生物を付けないことだ。でも微生物をつけない管理はCCPにできない。工場監査ではCCPしか見ない。だからHACCPは意味がない」という意見の人がいたら、OPRPを取り入れてください。あなたの取り組みをもっとアピールできます。


OPRPとは何でしょうか?




ハザード分析をすると「管理しなければならない重要なこと」がでてきます。先の例で言えば、「加熱した後に微生物がつかないようにすること」です。HACCPの責任者は、これをHACCPプランで管理したいと思っています。でもできません。なぜなら、「微生物による汚染」がハザード(危害を引き起こす要因)だからです。微生物による汚染は前提条件プログラム(PRP)としてHACCPシステムを導入する前に管理しておかなければならない、と決められているからです。それは、そうしなければHACCPシステムが煩雑になると言う過去の経験からです。


だから、OPRPなのです。

わかりましたか?PRPの中でも、特に注意して管理しなければならないPRPがOPRPです。下線部に注意してもう一度読んでみてください。わかったでしょ?(それでも、わからない方はキュー・アンド・シー阿部までメールください)

次はOPRPの内容です。

「OPRP」と設定したので、特別な管理が必要です。

まず管理手段を決めます。何をすれば微生物による汚染を防ぐことができるのか?です。「手洗い」もその一つでしょう。
そして「モニタリング(観察活動)」です。モニタリングの目的は、管理手段がしっかり実施されているか確認することです(ここはISO22000の規格の文章ではわかりにくくなっています)。管理手段の種類によってモニタリング内容も変わります。微生物検査でもモニタリングにできます。結果がタイムリーに出なくてもOKです。許容限界も必要ありません。その他はHACCPプランと同じです。

OPRPを活用できれば、やりたい管理ができます。無理にCCPを作らなくても良いのです。さらに「ISOの手法を導入していて、CCPではなくOPRPで管理しています」とアピールできます。

でもOPRPで難しいのは、「何を管理手段にするのか、何をモニタリングするのか」が一対一で対応していないことです。HACCPプランのように「微生物の殺菌なら加熱、加熱なら温度と時間」とはなりません。いろいろな組合せがあります。

その解決策は、衛生管理の専門家に聞くのが一番です。

(2010/8/22010/8/9の記事を合わせてご覧ください。もう一種類のOPRPがあります)。


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4 件のコメント:

  1. 某企業にてISO22000のFSMSTメンバーとして取組んでいる者です。
    とても勉強になりました。
    色々な書籍などを読んでおりますが、特に『ISOに関する知識』を従業員や推進メンバーに教育することに苦心しております。
    参考にさせていただきながら、個人的にも勉強させていただきます。

    質問など、お答えいただけるのでしょうか?

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  2. 匿名さま、キュー・アンド・シーの阿部です。
    コメントありがとうございます。

    ご質問の件ですが、内容によりますがお答えいたします。

    コメントで公開しても問題ない範囲のご質問(御社が特定されない、一般的な内容)であればお答えします。

    もし、非公開をご希望であれば個別に対応させて頂きたいと思います。

    今後ともよろしくお願いいたします。

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  3. ありがとうございます。

    早速ですが、質問させていただきます。

    HACCP書式Aの中に、「危害がこのステップで入り込むか、コントロールされるか、増大するか」とありますが、この『増大するか』の文言に迷っております。

    これは危害のレベルがその工程内で大きくなるかという解釈なのでしょうか?

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  4. キュー・アンド・シーの阿部です。

    ご質問の件ですが、「危害のレベル」ではなく「危害(要因)そのもの」がその工程で大きくなる、増えるということです。

    具体的には病原微生物があります。微生物は温度と時間によっては増殖します。物理的危害については「入り込む」ことはあっても「増大する」ことはありません。

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